| 鋸山日和見探検記 | |
| 千葉県・ハイキング |
| 期日 | 平成13年11月23日 |
| 参加者 |
Ken…日和見山の会の中心人物(仮名) ムサシ…日和見山の会メンバー(仮名) まー…日和見山の会メンバー(仮名) IT…日和見山の会メンバー(仮名) 坂月沢蚊…日和見山の会メンバー(仮名) 利益沢蚊…坂月氏の長女(仮名) 八滝沢蚊…坂月氏の長男(仮名) 横田和章…私、日和見山の会メンバー |
![]() |
鋸山への道はあまりに遠い。 この山は千葉県の南部、南房総の鋸南町にある。 鋸山登山口の浜金谷駅までは、千葉市から1時間半もかかる。 青梅から千葉市まで3時間近くもかかると考えればその道は本当に遥か彼方である。 しかもホリデイパスが使えるのは木更津までであり、そこから先は別料金が必要。 新宿始発の特急さざなみ号もあるが、 片道4000円という料金が必要。 たかだか2時間のハイキングのためには予算オーバだ。
千葉市を経由して行く方法の他に、もう一つだけ浜金谷駅へ行く方法がある。 それは、神奈川県の三浦半島の久里浜港からフェリーに乗る方法である。 久里浜港から金谷港までの所用時間は35分。金谷港から浜金谷駅までは徒歩8分だ。 もちろんこの方法でも、青梅から久里浜までは極めて遠い。 ただ、久里浜までホリデイパスが使えるという利点はある。 千葉をまわる電車よりも、海を渡る船の方が景色はきっと良いだろう。 そこで今回はこの経路を通って浜金谷まで行くことにする。
|
今日最大のリスクは、 久里浜駅から久里浜フェリー港へ行くバスに無事乗れるかどうかであった。 フェリーの時刻は9:30。その間わずか30分しかない。 JR久里浜駅の1つしかない改札口の近くには、 「フェリー港行きのバスは5番バス停」と書かれていた。 改札を出てみればすぐ目の前に見えるバス停が5番。 ただ時刻表を見ると、次のバスは9:15発だ。 これでは間に合うかどうか微妙。 ここで日和見メンバーのたあに氏の言葉を思い起こす。
意を決して京急久里浜駅の方へ歩いて行ってみる。 すると、京急久里浜駅のバス停は、JR久里浜駅から見て裏側にあった。 そこには明らかにそれと分かる人の列が出来ていて、 丁度良く「フェリー港行き」と書かれたバスが到着。 結局の所、JR久里浜駅より、京急久里浜駅から出るバスの方が本数は多いようだ。 その列に並んで、9:10頃京急久里浜駅を出発。 無事9:20にフェリー港に到着する。 ターミナルの自動販売機で950円の往復乗船券を購入する列に並んだ所で、 坂月氏から電話がある。 坂月氏は既に船に乗っているらしい。 9:25頃なんとか船に乗り、 甲板に出てみれば子連れの坂月ファミリーが既に景色を楽しんでいる。 「こんにちは。」
それからの35分間はとても素晴らしい景色だった。 朝の東京湾は波も穏やか。東京湾内は速度が規制されているので、 船のスピードも緩やか。 ほとんど揺れのない船の上から、浦河水道の景色を見つめる。 残念ながら富士山は見えないけれど、横須賀の景色も良く見えるし、 海の上に大小沢山の船が浮かんでいるのが分かる。 小さな釣り船の釣り客は、我々に手を振ってくれたりもする。 かと思えばヨットが通り過ぎたり、タンカーが通り過ぎたり、フェリーが通り過ぎたり。 まさに船の銀座だ。ただし、一見賑やかに見える美しい光景も、 その裏では大型釣船と潜水艦が衝突するような危険も併せ持っている。 とりあえず甲板に出ていれば少しでも安全かな?
船に乗る時間というのは時には長く感じるものだ。 揺れる船の中で2時間とか3時間ともなればうんざりだろう。 でも静かな船に35分は楽しい。あっという間に船は金谷港に入港。 港の向こうに見えるテーブルのような山がきっと鋸山。 みんな並んで船を降りる。
Kenさんへ電話をかけてみようとしたが、この場所はPHSは圏外。
浜金谷駅への道は、他の人々に着いて歩けば大丈夫。
10分弱歩いて無事浜金谷駅へ到着。
駅前で待つKenさん、ITさん、まーちゃんさん、ムサシさんと合流。
これで8人のメンバーが全員揃う。
時刻は10:20頃。
|
出発から4時間を経て、ようやく浜金谷駅へたどり着いた私だが、 まだまだここはゴールではない。 いよいよ鋸山へ向けて歩き始める。 しかし、良く考えてみれば、私は鋸山がどんな山なのかもあまり良く知らないし、 当然地図も持っていなかったりする。 でも、ロープウェイもある山だと聞いていたので、 たいしたことはないと思っていたのだった。
ロープウェイを指す標識とは分かれて、 「鋸山登山道」と示された方向へ進んで行く。 やがて狭いアスファルトの道を抜けたところに、急な階段が見える。 ここが鋸山登山口のようだ。 ここからはまーちゃんさんやITさんを先頭に、いよいよ登りにかかる。 元気なまーちゃんさんや、山慣れしていそうなITさんはペースが速い。 ついでに坂月ファミリーの子供達もペースが速い。 それに比べてKenさんと私は、 階段の道をブツクサ文句を言いながらゆっくり登って行く。 普段我々はいつも超マイペースで登っている。 階段というのは、少なくとも歩幅は他人のペースに合わされてしまう。 だから大嫌いだったりする。 「あー辛いぜ〜。」
歩き始めるとすぐに暑くなり、みんな上着を脱ぎ始める。
やはり南房総は暖かい。もう11月も末だけど、
シャツの袖をまくっても別に違和感がない。
どこまでも続く階段をなんとか登って行くと、
やがて道はちょっとしたピークに飛び出す。
そこには「観月台」という文字がある。
振り返れば海の向こうに久里浜の3本の煙突が見える。
素晴らしい景色。
ここで少しだけ休憩。
ところで「観月台」って何と読むのだろう?
「かんげつだい」で良いのだろうか?
同じ字を書いて「みづき」と読むようなタレントもいたしなぁ。
|
観月台を過ぎると、道は少し下る。 せっかく激しい階段を登って来たのに、少しでも下ると悔しいものだ。 そこにトイレがあるので少し足を停め、再び少し降りて行く。 道はなだらかに少し続いたところで、今度は分岐している。 左には「石切り場、洞穴」、右には「山頂」とある。
知ったふりをして適当なことを話す技はIHさんの得意技なのだが、 その技をKenさんも会得していたとは。
通りすがりの男女に尋ねると、 「洞穴は素晴らしい景色でしたよ。」とのこと。 それでまずは左へ進んで見ると、程なく2つ目の分岐がある。 右に「石切り場・絶景」とあるので、そこへ進んで行く。 やがて切り立った岩の前に飛び出す。 石切り場というのは本当に採石のため石を切り出した場所らしい。 しかもその切り出し方は、まるで鋭利な刃物で切ったかのように直線的だ。 平坦な岩に囲まれた冷たい空間が、目の前にそびえ立っている。 圧巻される。
Kenさんは冗談でこの壁を登れと私に言う。 とてもじゃないけどそりゃ無理というものだ。 山の上部はお寺の敷地内になっているため、 上部に行くには拝観料が必要なのだそうである。 この岩を登れば拝観料を節約できるとのことだが、 はっきり言ってそんな危険を冒すぐらいなら拝観料を支払った方が安いというもの。
一度2つ目の分岐に戻り、更に東へ進むと、今度は洞穴という場所に出る。
そこは石を切り出すために岩を横に掘った場所のようだ。
穴はとても深い。ちょっと恐いね。
更に東へ進めば、実は新登山道があるらしいのだが、
そこはまだ整備中の状態であり一般向けではないらしい。
そこで、1つ目の分岐に戻って、一般的な道を登ることにする。
|
1つ目の分岐に戻って岩の間の道を登って行くと、程なく料金所に到達。 ここで入園料600円を支払う。 門を通るとすぐに大きな観音様がそびえている。 みんなで並んで記念撮影。
その先で道はすぐにロープウェイから来る道と合流する。 ここまでリュックを背負った人が多かったものの、 ここからはリュックのない普通の人が多くなる。 普通の観光客に混じって少し階段の道を登ると、ついに展望台に到達。 海を見れば対岸の久里浜が良く見える。 結局富士山は見えなかったけれど、良い景色が見えて良かった。
時刻はもうお昼。そろそろ昼食にする。 今日はKenさんのリュックからは何が飛び出すのだろうと期待していたのだが、 結局何も飛び出さないまま。 代わりにまーちゃんさんがコーヒーをご馳走してくれる。 ありがとう、まーちゃんさん。 もう朝食から実に6時間が経過しているので、私は本当にお腹ペコペコ。 日当りの良い展望台で美しい景色を眺めながらの昼食というのは気分が良いものだ。
昼食後は周囲を散策。 展望台のすぐ近くには岩の上に登れる場所がある。 ここはさっき下で歩いた石切り場の上にある。 つまり足元は不毛の断崖絶壁。地面は100mも下だ。 私は高所恐怖症というわけではないが、 この高さで端に立つとかなり恐い。 ちょっとよろめいて足を踏み外せば一貫の終り。 「地獄のぞき展望台」という名前は、まさにこの場所にふさわしい。
展望台の一部は、岩が崖の上にせり出している。
その上に大勢の人が乗って下を覗いているのだが、
これは本当に大丈夫なのだろうか?
石川五右衛門がやってきて
「(シャキンシャキン)またつまらぬものを斬ってしまった」
とでもやれば、音もなく崩れてしまいそうにも見える。
ようするに今にも崩れそう。
|
この山を訪れる多くの人は、この展望台を山頂だと思っているようだ。 しかし、展望台から東を見ると、もっと高い場所が東にあることが分かる。 実は、本当の山頂は展望台から東に進んだところにあると言われている。 ITさんとKenさんはこんな風に話す。
IT「確か、『この先一般者侵入禁止』と書かれた看板が展望台のすぐ下にあって、
そこが山頂三角点への道の入口なんですよね。」
Ken「その道は薮だって聞きましたよ。でも往復1時間ぐらいかな?」
IT「一度行ってみたいと思っていました。」
その分岐は、確かに展望台の下にあった。 しかし実際には「一般者侵入禁止」と書かれている訳ではなく、 「ロッククライミングを禁ず」というような謎のことが書かれている。 我々はそこでどうすべきか非常に悩む。 折角だから行ってみたい気もするし、 何しろこんな崖だらけの山なのでやや危険な気もする。 悩んだ挙げ句、『危険』と判断したら引き返すことにして、 そこまで進んでみることにする。
※以下の道は標識が少なく少々危険あり。 入山は個人のリスクにて。
さて、ここからはいよいよ本当の日和見探検である。 8人のメンバーでゾロゾロと地図にないルートへ侵入して行く。 しかしその道は、実際には電線などの管理のために使われている巡視路のようで、 意外にも整備されている印象。もちろん崖や薮もないし、 ちゃんと階段になっている場所もある。 最初の坂を急激に登ると、ほどなく東京電力の建物へたどり着く。 振り返れば背後に美しい海が見える。 その場所はちょっとしたピークになっている。もう山頂なのか? しかし良くみれば更にもっと高いピークが先にあるようだ。 それで東へ下る道を降りて谷間に降り、再び登る。 すると次のピークに飛び出した所で、更にずっと先にもっと高いピークが見える。
我々はここで初めてこの山が「鋸山」と呼ばれる理由が分かる。 決してノコギリで岩を切り出したからではない。 ノコギリの刃のように、 山頂付近にいくつものピークが繰り返しているからに違いない。 2つ目のピークを少し下った所に分岐があり、 左の道の先はロープのある急な下り坂になっている。 恐らくここがいわゆる鋸山新登山道なのだと思う。 右へ進むと道は更に鋸状にいくつものピークを繰り返し、 やがて千葉テレビの施設を過ぎる。 その後、道は少しだけ薮になるが依然として明瞭で、 踏み跡を外れない限りは特に危険な箇所はなさそうである。 そして我々はやがて大きな石のあるピークに到達。 ここが一等三角点、鋸山の真の山頂である。
あれほどの人がいた展望台から30分。 そこはとても静かな山頂だ。 ややハードなアップダウンを繰り返した割には、 あまり景色の良くない場所だ。 とりあえず山頂に立ったということでこの山を征服したつもりになる。 坂月ファミリーは落してしまったチョコボールの写真を記念に持ち帰る。 それぞれの山頂ありだ。
少し休んで、我々は元来た道を引き返す。
ITさんとまーちゃんさんは、
「展望のない山頂へ来る意味は何なのだろう?」
という疑問からスタートして、この後「我々はなぜ山に登るのか?」
という話題で盛り上がった模様。
|
山頂から降りて来て南側の斜面に下ると、一帯は日本寺という寺の境内である。 我々は最後にこのお寺を少し見物する。 まずは千五百羅漢を見に出かける。そこは1箇所に1500体の羅漢があるわけではなく、 長い道沿いにいくつかに分かれて羅漢が集まっていて、 全体を千五百羅漢道と呼ぶらしい。 羅漢はいろんな顔をしていて、結構人間臭いやつもいる。 豊かな表情をしているものである。 Kenさんは「日本最多らしいよ?」と話すのだが、 それが本当かどうかは定かではない。
続いて大仏見物に出かける。 この道で八滝氏は拾った葉っぱを頭の帽子に差し始める。 大きな葉っぱが頭の前に立っている姿は、 まるで昔懐かしいレインボーマンか月光仮面のようである。 今で言えばアクション仮面と言ったところか? やがて見えて来た石造りの大仏は、本当に大きい。 きっと奈良の大仏よりも鎌倉の大仏よりも大きいと思う。 石造りというあたりがやや反則ではあるが。 でもコンクリートで固めたものではなく、 恐らくは岩を削って造ったものなのだろう。
これで今日の見所はおしまい。
この山は総じて見所の多い山である。
でもたかだか標高330m程度にも関わらず、その道はハードだ。
急な登りはまだ良いとして、急なコンクリートの階段を降りるのはちょっと足に悪い。
「標高が低いくせに、ちょこざいな山だった〜」と叫びながら、日本寺を後にする。
|
日本寺から下った後は、ひたすらアスファルトの道を歩いて保田(ほた)駅へ向かう。 その道は徒歩30分程度と結構長い。 道中みんなで「運動の直後のビールは体に悪らしいんだよね。」と話す。 そのくせ駅に辿りつくと、やっぱり大人の方々はみんなビールである。 「体に悪い」という話は一時棚上げ。 もちろん子供はアイス。 そしてもちろん少年の心を持つ私もアイス。 やがてやってきた電車に乗り、私と坂月ファミリーは次の浜金谷駅で降りる。 そのまま千葉へ向かう残りの4人とはお別れ。お疲れ様でした。
金谷港まで歩いて船に乗る頃には、綺麗な夕日が海に浮かんでいる。 トンビが空高く舞う中を船は出航。 夕日に染まった海にもう釣り船はいない。 タンカーやらフェリーやらだけになった海を、船はゆっくり進む。 甲板では沢山の人が夕日を眺めて写真を撮っている。 太陽はやがて海の向こうに霞んで見えない山に隠れる。 すると風は急に冷たくなってくる。 さっきまで袖をまくってアイスを食べていたのがウソのよう。 やはり南房総は暖かい。それと比べて神奈川県は少し寒いようだ。 やがて夕闇に変わり始めた久里浜港に到着。 バスに乗って京急久里浜駅で坂月ファミリーともお別れ。 あとは私は一人で横須賀線の電車に乗る。もちろん東京駅まで爆睡である。
1時間半強横須賀線の電車で寝た後、私はあまりにお腹が空いているのに気づく。 それで神田神保町のスヰートポーズというお店へ寄り道して餃子を食べた。 でも皮は良いとして、隙間のある餃子は具の味が今一つ。 独特な香ばしい餃子は一度食べに行ってみる価値はあるが、 二度は結構というのが正直な印象。 「おまけ」という節を作るほどではなし。
今日も楽しい一日だった。
| 山名 | 千葉県鋸南町、鋸山330m |
![]() ルートマップ |
| 行程 |
浜金谷10:20→鋸山登山口10:30 →観月台10:50→石切場11:20 →洞穴11:35→料金所11:50 →展望台12:00〜13:10 →三角点分岐13:15→三角点13:45 →三角点分岐14:15→千五百羅漢道14:25 →大仏14:50→保田駅15:30 | |
| 駐車場 | 日本寺に多数 | |
| トイレ | 展望台 | |
| 水場 | なし |